未来逆算思考による新規事業開発プロジェクト
- クライアント名:
- 株式会社デンソーウェーブ ビジネス開発室
- 実施時期:
- 2023.4〜2023.7、2023.9〜2023.12
- 担当領域:
- シナリオプランニング
サービス開発

未来逆算思考による、新たな価値創出ができる事業を模索する新規事業開発プロジェクト
|株式会社デンソーウェーブ ビジネス開発室
QRコードの開発企業として世界的に知られるデンソーウェーブは、「技術で社会を支える」を掲げ、自動認識機器や産業用ロボット、制御機器を開発。製造・物流・医療などの現場を支える高性能な製品で、生産性向上と人々の幸福に貢献すべく、グローバルに事業展開しています。
本プロジェクトは、ビジネス開発室が「既存事業部門が検討する領域より外側の、新領域で新規事業テーマを探索したい」という課題を起点に、デンソーグループの中期経営戦略や事業方針も踏まえながら、“ちょうど良い”距離感の事業案を導き出すことを目的に実施しました。
数年先の未来の社会を想像し、作成したシナリオからバックキャストで将来必要とされる事業アイデアを創出。後半では、創出したアイデアのブラッシュアップに向けて外部インタビューも行い、視野を広げながら未知の領域を深掘りしました。その結果、デンソーウェーブらしさを大切に、新たな価値創出ができる事業を模索する取り組みとなりました。
クライアントの課題
- フォアキャストではなく、未来起点のバックキャストから、新たなデンソーグループの柱となる事業を幅広く探索したい
- 未来の課題やニーズがあるだけでなく、デンソーウェーブが取り組む必然性や意義のある、理想と再現性のバランスが取れた"ちょうど良い"距離感の事業案を考えたい
NEWhの提案
- シナリオプランニングという手法で未来を予測し、バックキャスティングによって自社事業やデンソーグループ全体方針も踏まえ、既存事業との接点を持つ新たな事業の可能性を検討
- プロジェクトのなかで、メンバーの考える「デンソーウェーブの考える"ちょうど良い"とはなにか」を言語化し、アイデアの評価指標として利用しながら"ちょうど良い"距離感のアイデア発想を実現する
実施結果
プロジェクト初期には、社会的・企業的な意義を踏まえ、シナリオプランニングにおける探索領域を「オートメーション(肉体労働の代替)」に設定。未来の社会で人々の生活がどのようにオートメーション化されているかを未来シナリオとして発想した。
シナリオプランニングでは、メインストリームではない、未来に起こり得る極端にポジティブ・ネガティブな事象を想像して、影響度と不確実性の高い最重要要因を発想し、その要因を掛け合わせて複数の未来シナリオを構築。シナリオを時系列で整理・検証し、未来の課題と向き合う視点を得た。
そのシナリオを起点にバックキャストで未来の課題を抽出し、チーム全員で解決策を発想。30以上のアイデアから5案を選び、10年後を見据えた具体的な事業構想を策定した。最後に、選定した事業案をさらに深掘りするため、社内外の専門家へインタビューを実施。コンセプトや提供価値、機能などを詳細化し、事業開発フェーズに向けた下地づくりを行なった。

TEAM
NEWh's EYE
チームとしてのチャレンジ・
得られた知見
Project Designer:
木下
「既存事業部門が検討する領域より外側の、新領域探索と事業アイデア創出」という難題。NEWhの強みであるシナリオプランニング(不確実な未来に備えるために複数シナリオを描く思考法)をご提案し、未来を想像・予測し、逆算で新事業テーマを検討するアプローチでチャレンジさせていただきました。
未来リサーチをもとに作成した無数のシナリオの「可能性」を評価。その中から自社とプロジェクトメンバーが作りたい未来を選び取り、新事業アイデアに落とし込むことは大変な苦労だったと思いますが、皆さんとても楽しそうにワークされていたことが印象的です。
本プロジェクトチームには事業企画だけでなく、エンジニアの方も参画されており、検討したアイデアは既にプロトタイプを制作中とのこと。技術力のデンソーウェーブさんなら、きっと社会実装してくださる!と楽しみにしています。
Service Designer:
北村
チームとして、新規事業を担当されている方はもちろん、技術畑で普段は具体的な技術開発と向き合っている方も含めたメンバー編成でプロジェクトに臨んでいただけたため、一つ一つの発想工程で様々な視点からの意見やアイデアをいただきながら進めていくのが非常に面白いプロジェクトだったと感じています。
未来のシナリオというのは不確実で、かつ影響力の大きな未来を考えるとなると、まっすぐ考えるだけでは出てこない発想が必要となります。そのようななか、物怖じせず飛躍した意見を出してくださる方がいらっしゃったり、一方で具体的な事業内容を考えていく際には、エンジニア視点でないとできない粒度感まで詳細をイメージしていただく方がいらっしゃるなど、このチームでしかできない役割分担の仕方でミクロとマクロを行ったり来たりすることができたなと感じています。
やったことのないことでも面白いと思いながらまずやってみるという力、そしてとにかく「つくる」ということに繋げていく強い力を感じ、私自身もわくわくしながら伴走させていただきました。
Client Review
お客様の声
株式会社デンソーウェーブ
ビジネス開発室
主任
星名 一平 様
テーマ探索や「ちょうど良い距離」を検討するパラメーター設定など、NEWhさんのこれまでの事業開発伴走経験から、我々のチームにあったプロセスをご提案いただきました。
このプロセスを通じて体験できたことは多くの学びがあり、財産になっています。
特に、意識的に具体と抽象を繰り返すことやアウトプットの粒度合わせなどは、現在のプロジェクトでも実践しています。
言語化(テキスト化)を大切にしているNEWhさんに期待していた通り、プロセス自体をデザインして進められました。言語化する作業は、関係者・協力者へ説明するうえで役に立ちますし、そもそも、自分の頭の整理にもなります。新規事業開発においては、話が行き来することが多いため、事業構想プロセスを体系的に整理し、メンバーの目線合わせをするクセもついてきました。
暗中模索だったチームメンバーも一つの型を学ぶことができ、創出したいくつかの事業アイデアの中から、優先順位を決めて、事業化に向け検証プロセスもご一緒いただきました。
NEWhさんと伴走するプロジェクトは一旦区切りを付けましたが、そのとき構想した事業アイデアは、現在も社内のチームで事業化に向け、自走しています。